積水ハウス63億円だまし取られる 地面師とは3

積水ハウス事件と「地面師とは2」の事件との共通性は、地面師による事件、その手口は書類の偽造。その精巧さは、その道のプロ中のプロである、司法書士、法務局の担当者をも欺くものであった。

「地面師とは2」の事件では、まず、Xの所有権にするために、芸術家Yの印鑑証明書、実印を偽造した。推測だが、Xは、偽造したのではなく、実印の登録変更を行ったか、Yの住民票を勝手に異動させて、新たな印鑑登録をしたのではないか?Yに成りすますことによって印鑑証明書も偽造せずに入手できる。しかし、その際Yの本人確認書の提示を求められる。これをどう乗り越えたか?おそらくは、YのXあての委任状を偽造して、Xの運転免許証等を使ってすり抜けたのではないか?だが、ここでまた疑問がわいてくる。登記情報、いわゆる、以前権利書と言われたものの偽造である。これは不可能だと思う。再発行はされないし、偽造そのものができない。登記情報制度になったのが、20年ほど前なので、Yの不動産がそれ以降動いていないと思われるので、旧権利書のままのはず。これは偽造しやすい。しかし、法務局や司法書士に見破られやすい。ではどうしたか?おそらく権利書紛失を名目に、法務局同一管内の二人の保証を取り付け、それによって贈与による登記をしたのではないか。それによって、Xの所有権となり、不動産会社Cに売却する。このときは、書類は真正なものと見受けられ全員を無事スルーしてしまう。宅建業者Bの仲介で、Aらに所有権移転も簡単にできる。Aらに住宅ローンも無事付く。発覚したのは、相続で身内が集まり、税理士に相談した時、他人の名義になって気づき、大騒ぎになり、弁護士に相談をして、訴訟になった。Aらにお金が戻り、それで銀行に返済し、Xは、詐欺罪で収監され、土地はYの遺族の手に戻った。なぜすぐにわかってしまうことをやるのか?Xは、捕まるのは承知していて、現金はどこか絶対に見つからないところへ隠し、刑務所出所後改めて大金を手にするのだろう。それか、借金の返済にあてたか。しかし、これは考えにくい。犯罪を犯すより、自己破産して返済を免れる方が手っ取り早いからだ。あるいは、街金等の怖い人たちへの返済だったかもしれない。これならわかる。自己破産する前に殺されるかもしれないからだ。

積水ハウス事件は、少し様子が違う。徹底的に犯人が、真の所有者に成りすましていたからだ。ここには、Yのような存在はいない。したがって、売主と称する女性の住所を訪ね本人確認を行えば、たとえ見抜けなくても、何かおかしいぞ、くらいの印象を持てるはずだ。おそらく、今は理由があって本当の居場所を言えない、とか言ってごまかしていたのかもしれない。そこで取引を中止するべきだった。しかし、期待通り、司法書士が、偽造を見抜けず、代金を全額支払ってしまった。法務局は見抜き、書類を受理しなかった。そこで発覚。後の祭りだ。真の所有者に実質的な損害はない。積水ハウスと系列?の不動産会社だけが合計63億円もの損害を被った。しかし、ここでも疑問が残る。その売主の女性の本人確認書類をコピーしているはずだ。その住所が、登記簿謄本に載っている住所と一致していたのだろうか?謄本の住所をまだ変えていないから一致しない、とでも言われたのだろうか。本当に、のどから手が出るような不動産の取引の場合、おかしいなと思いながら、その思いを消すかのような、逆作用?が働き、言いなりになって取引を進めたくなる。不動産業者として気持ちは理解できる。「地面師とは2」の事件では、Bという仲介業者が介在し、損害金全額をこのBが弁償するという判決が出た。積水ハウス事件では、すべて直接取引で、仲介業者が存在していなかった。被害者としては、今回は、犯人と司法書士を訴えるしかない。しかし、大金を弁償できるはずもなく、自己破産して、支払を免れてしまうだろう。