業界ファーストか、国民ファーストか

私は、日本の政治について、いつも思うことがある。例えば、民泊問題。アメリカ人の若者が、インターネット時代と格安航空機の普及時代を活用して、本来なら、海外旅行をできない層の人たち、特に若者を対象にして格安の宿を提供するビジネスを始めた。宿を提供するホストは、余っている部屋・スペースを提供する。これらホストにとって、提供する部屋は、民泊を経営するために建築した建物を提供するのではない。子どもが育って夫婦二人住まいで部屋が余っているとか、新築したが一部屋あるいは二部屋をローン返済の一助になればと部屋を提供するのであり、本来新築貸家を建築する際の、減価償却費、金利および元金を計算する必要がなく、人件費もなく、経費としては、清掃費、シーツ・布団カバー・枕カバーのクリーニング代が主なものである。したがって、著しく安い値段設定ができる。現在では大都市圏においては供給過多になり、価格競争が始まっている。これに対して、旅館・ホテルで民泊の客層と一致しているところは、経営が大変である。政府は、外国人観光客4000万人を目指すと言っておきながら、それを受け入れるためには今の旅館・ホテル数では賄いきれないと承知している。ところが政府はこの政府目標に対して大いに助けとなる民泊に旅館業法の規制と同じ規制をかけることにした(来年から)。余っている部屋を提供する民泊に対して規制すれば、経費を掛けられないので善良な人は撤退するし、そうでない人は地下に潜行して無届で経営するようになる。自分でも一部屋だけ民泊として運営しているが、今年で撤退を考えざるを得ない。

なぜこうなるのだろうか。それは、いわゆる圧力団体、この場合、旅館・ホテル業界である。政府に認めないよう、それがだめなら足かせをかけるよう陳情したのである。旅館業界の立場に立てばそうするのは当然かもしれない。しかし、外国の若者は、当然裕福でなく、現在の旅館代は払えない人が多いと思う。現在の2000万人の目標でよければ、民泊を圧迫しても、それなりに若者は集まるし、現在でも彼らにとって高い旅館ホテル代を支払ってくれている。しかし、倍の4000万人受け入れるには、ある程度自由に民泊を経営させなければ、不可能だ。しかも安くだ。そうすれば4000万人達成も現実味を帯びる。政府は、利用者目線でなく業界目線で規制をかけてくる。利用者目線に立つべきだ。しかし、零細な旅館ホテルの立場も考えるべきだ。グローバル展開が盛んな民泊を規制するのは島国日本でも不可能だ。この勢いはだれも止められない。インターネットに国境はない。規制して新しい芽を摘むのではなく、旧体制の業界を守る別の政策を考えるべきだ。例えば、零細旅館業者には民泊経営への移動を促し、旅館業法の適用を外す、安い料金にすると、客は食事を期待しないものである。素泊まりで当然なのだ。したがって、人件費が安くなる。食事をどうしても提供したい旅館は、今まで通りの経営を続ければよい。しかし、厳しい規制は緩和すべきだ。世界の潮流は料金重視で不要なサービス無用だ。業界を守るのではなく、業界をビジネスの流れに導くのだ。そこには様々な規制緩和あるいは減税が必要だ。利用者ファーストに考え方を転換すべきだ。

政府は国民ファーストの考え方に変え、旧体制の業界のスムーズな経営移行を促すべきだ。それこそダイナミックに良い方向へ日本が変われるかもしれない。